日本が世界に誇るブランド和牛
欧米の政治家、王室関係者、ハリウッドスターなどが来日時に指名するように、世界で愛される神戸牛。
きめ細かく上品な甘みのある赤身が、脂肪の風味・香りと溶け合うハーモニー。
神戸牛のおいしさの秘密は、人肌で溶けるほど融点の低いサシ(脂肪分)が筋肉の中に細かく入り込んだ状態、いわゆる「霜降り」です。
[霜降り]
融点の低いサシ(脂肪分)がとくに細かく筋肉の中に入り込んでいる
[赤身]
肉繊維がきめ細かく、上品な甘みがある
[うまみ成分]
脂肪の風味の決め手であるオレイン酸やうまみ成分のイノシン酸を豊富に含む
但馬牛の中から、厳しい基準で選ばれた牛だけが神戸牛と呼ばれます
神戸牛(こうべぎゅう)は兵庫県産但馬牛のうち、一定の品質基準を満たす「牛肉」のこと。
兵庫県産の但馬牛(たじまうし)は、ほとんどのブランド和牛のルーツといわれています。但馬牛からとれる牛肉のブランドには、神戸牛、但馬牛(たじまぎゅう)、三田牛、淡路ビーフ、黒田庄和牛などがあります。
神戸牛は元々、神戸ビーフ、神戸肉と呼ばれていましたが、最近では神戸牛も一般的に使われるようになり、正式名称となりました。
神戸牛の認定基準は、ブランド牛の中でも、最も厳しい基準のひとつと言われ、但馬牛の中でも「選りすぐり」だけが、神戸牛の称号を得ます。
神戸牛の条件
〈1〉歩留・肉質等級
・「A」「B」4等級以上を対象にする。
〈2〉脂肪交雑
・脂肪交雑のBMS値No.6以上とする。
〈3〉枝肉重量
・雌は、270kg以上から499.9kg以下とする。
・去勢は、300kg以上から499.9kg以下とする。
※枝肉重量とは放血して皮を剥ぎ、頭部、尾、四肢端などを切取り内臓を取除いたあとの重量です。
〈4〉その他
・枝肉に瑕疵の表示がある場合は、本会が委嘱した畜産荷受会社等(委嘱会員)がこれを確認し、「神戸肉・神戸ビーフ」の判定をする。
BMS(ビーフ・マーブリング・スタンダード)は、霜降りの度合で、下の写真のようなスタンダードを照らし合わせて格付けされます。
神戸ビーフに認定された牛肉には「のじぎく」の紋章が捺されます。
肌で溶けるほど融点の低いサシ細かく入り込んだ霜降り。
但馬牛は食用に最高の資質に恵まれた品種です。
ストレスのない健康的な環境で、農家が愛情と手間ひまかけて育てます。
神戸牛の歴史
昔から牛さんは主に農耕や運搬用として、大切に飼われていました。兵庫県北部の但馬地方は、日本海に面し平野が少ない山国であるため、狭い棚田で小回り良く働けるよう、小柄で体が引き締まった但馬牛が活躍していました。 但馬地方の夏は昼と夜の気温差が大きくて夜露が降りるために、軟らかい草がよく生えます。この草とミネラルの多い水をたっぷり与えられ、険しい山を行き来することで、但馬牛は健康で丈夫な牛さんになっていったのです。
江戸時代、この但馬牛を品種改良して、「つる」と言われる母牛の系統を作った人がいました。
「つる」は優良牛ばかりを交配し純良な血統を強力に伝える牛で、現在では「あつた蔓」「ふき蔓」「よし蔓」の3系統があります。
1868年に神戸港が開港、多くの外国人が神戸にやって来ました。当時の日本は食肉文化が一般的ではなく、どうしても牛肉がが食べたかったイギリス人は、農家で飼育されていた牛さんを買い付け、自分たちで解体して食べていました。彼らがその味を絶賛したことが「KOBE BEEF(神戸ビーフ)」始まりといわれており、のちに外国へ輸出されたり、全国に流通するようになります。
神戸開港と同時に伊藤博文が初代兵庫県知事に就任した際、イギリス留学経験がある伊藤は好んで神戸ビーフを食べていたという逸話も残っています。
現在の神戸ビーフ(神戸肉・神戸牛)は、食用に改良を重ねられ、肉の断面に霜降り(サシ)と言われるマーブル状に脂肪が入った肉質のものが出来るようになったことにより生まれました。神戸ビーフに明確な基準ができたのは1983年(昭和58年)。生産・流通・消費の関係団体が「神戸肉流通推進協議会」(事務局:全農兵庫県本部畜産部)を創設し、「神戸ビーフ」とのブランドが誕生、定義が明確化されました。
美味しさの秘密
名門もと牛の血統
「もと牛」として重宝され、現在国内各地の銘柄牛に受け継がれるようになった但馬牛。そんな中、兵庫県産但馬牛は今もなお他府県産の和牛との交配を避け、完全な純血を守り続けています。
大切な遺産「但馬牛」そして「神戸牛」を守ろうとする農家の愛情と誇りに支えられ、世界に誇る品質が伝承されていくのです。
肉の味と霜降り
日本で食肉が一般化する前から、但馬地方で農作業や運搬などに利用されてきた但馬牛。締まりの良い筋肉質の体格、しなやかな筋肉が、良質で適度な脂肪を内面に留まらせることによって、霜降りの状態になります。
肉そのものの味が良く、そこに脂肪の甘さが加わったサシの部分が口の中でとろけ、食べた人を魅了するのです。
環境と飼料
但馬牛のふるさとは、日本海に面し、平野が少ない兵庫県北部の山地。昼と夜の気温差が大きく、夜露が降りるこの地方で育つ柔らかい牧草と、またミネラル分豊富な水のおかげで、但馬牛特有の肉質が作られました。
子牛たちは稲わらやとうもろこし、麦などの選び抜かれた飼料と清澄な水を与えられ、理想の肉質に近づいていきます。